NT-proBNPで糖尿病患者の心不全を効率的に検出 高リスク例のスクリーニング戦略として有用
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NT-proBNPで糖尿病患者の心不全を効率的に検出
高リスク例のスクリーニング戦略として有用
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心不全は糖尿病における一般的な心血管合併症であり、早期の発見・介入が求められる。英・University of GlasgowのDaniel Taylor-Sweet氏らは、1つ以上の心不全危険因子を有する40歳以上の糖尿病患者を対象に、N末端プロB型ナトリウム利尿ペプチド(NT-proBNP)を起点とするスクリーニング戦略を検証する前向き非盲検ランダム化比較試験TARTAN-HFを実施。スクリーニング群の心不全検出率は24.6%に上ったとJ Am Coll Cardiol(2026年8月11日オンライン版)に報告した。スクリーニングを行わない通常診療群における6カ月間の心不全診断率(0.6%)を大きく上回り、検出例は心機能保持例、有症状例が多かったことから、高リスク例のスクリーング戦略としての有用性が示された。(関連記事「心不全は糖尿病合併症! 薬剤選択にも要注意」)
NT-proBNP 125pg/mL以上の場合、経胸壁心エコー検査を施行
TARTAN-HF試験の対象は、1型または2型糖尿病の確定診断を受け心不全の危険因子〔①冠動脈疾患、②持続性/永続性心房細動(AF)、③虚血性または塞栓性脳卒中の既往、④末梢動脈疾患、⑤慢性腎臓病(CKD)、⑥30日超のループ利尿薬常用、⑦慢性閉塞性肺疾患〕を1つ以上有する40歳以上の患者。
心不全既往例などは除外してスクリーニング群または通常診療群に1:1で割り付け、スクリーニング群ではNT-proBNP測定と血液・尿検査などを行い、NT-proBNP値が125pg/mL以上の場合は詳細な経胸壁心エコー検査を施行した。
主要評価項目はランダム化後6カ月時の心不全診断とし、2021年欧州心臓病学会(ESC)ガイドラインに基づき①心不全の徴候および/または症状、②NT-proBNP 125pg/mL以上、③心臓の有害なリモデリングまたは充満圧上昇と一致する心エコー上の構造的または機能的異常が1つ以上-の全てを満たす場合とした。左室駆出率(LVEF)が低下した心不全(HFrEF)、軽度低下した心不全(HFmrEF)、保たれた心不全(HFpEF)に分類。副次評価項目は6カ月時におけるHFrEF診断およびガイドライン推奨薬物療法(GDMT)の施行率、探索的評価項目として6カ月時のHFmrEF・軽度低下した心不全/HFpE(保たれた心不全)F診断およびSGLT2阻害薬の使用率、6カ月時の無症候性左室機能障害(LVEF 40%以下)診断例なども検討した。
心不全1例検出のスクリーニング必要数は5例
2023年1月~25年5月に706例を登録し、スクリーニング群354例、通常診療群352例に割り付けた。主な背景は平均年齢が70.4±8.8歳、男性が69.3%、2型糖尿病が90%。心不全危険因子はCKDが57%、冠動脈疾患が39%で、2つ保有例が26%、3つ以上保有例が10%だった。スクリーニング群でNT-proBNP測定を受けた353例中174例(49%)が125pg/mL以上だった。
スクリーニング群では、スクリーニング時に心不全の徴候/症状と心エコー上の所見に基づき87例(24.6%)が心不全と診断され、HFrEFとHFmrEFが各3例(3.4%)、HFpEFが81例(93.1%)だった。ランダム化後の6カ月間に新たな診断例はいなかった(表)。
通常診療群では、ランダム化後6カ月間の心不全診断例は2例(0.6%)で、外来での診断、心不全による入院時の診断が各1例、いずれもHFpEFだった。
検討の結果、ランダム化6カ月後のHF診断について、通常診療群に対するスクリーニング群のオッズ比(OR)は58(95%CI 14~236、P<0.001)だった(表)。6カ月時に心不全を1例検出するためのスクリーニング必要数は5例(95%CI 4~6例)だった。
表. 評価項目

(J Am Coll Cardiol 2026年8月11日オンライン版)
診断例は症状負荷が大きく、健康状態も不良
未診断心不全の有病率は危険因子保有数の増加に伴い上昇した。6カ月時にHF 1例を検出するためのスクリーニング必要数は、危険因子保有数1つで7例(95%CI 6~10例)、2つで3例(同3~4例)、3つ以上で2例(同2~3例)だった。
スクリーニング群の心不全診断例は症状負荷が有意に大きく、健康状態も不良であった。カンザスシティ心筋症質問票 (KCCQ-12:0~100点、高スコアほど良好)総合サマリースコア中央値は、非診断例の89.6点(四分位範囲71.1~97.9点)に対し、診断例では65.6点(同44.3~81.2点)と低かった。
診断例で多かった症状は息切れ(84%)、疲労(53%)で、足関節浮腫は53%に見られた。スクリーニング群ではSGLT2阻害薬の処方も増加し、HFmrEF/HFpEF診断例84例中60例(71.4%)が6カ月時に同薬を使用していた(表)。
Taylor-Sweet氏らは「NT-proBNPに基づくスクリーニング戦略により、糖尿病患者の4人に1人で未診断の症候性心不全を検出できた。有症状例を高率に検出できるNT-proBNPを起点とする標的型スクリーニング導入の根拠となる結果だ」と結論している。
(編集部・関根雄人)